FC2ブログ


ハーバードの「世界を動かす授業」 ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方

ハーバードの「世界を動かす授業」 ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方 / リチャード・ヴィートー


ハーバード・ビジネス・スクールで絶大な人気を誇るリチャード・ヴィートー教授の「BGIE(Business, Government, and the International Economy)」という講義を基に書籍化したのが本書です。

世界を代表する企業のエグゼクティブや、一国の大統領や総理大臣を卒業生として輩出する授業で、国際経済に関するケースを基にディスカッションを行うそうです。

本書は、教授の国際経済観をケースを交えて説明したもので、世界の国々の動きを8つの軌道に分けて説明している。

1.アジアの高度成長
2.ラテンアメリカ諸国の債務危機からの回復
3.アフリカのルネッサンス
4.イスラム諸国の台頭
5.ソ連の崩壊、およびロシアと東欧のポスト・ソビエトの再構築
6.欧州の経済統合
7.日本と米国における財務赤字と巨大債務
8.地球規模の環境の軌道

これらの切り口で見た時に、そこに内在する問題や今後の各国・地域の戦略について見ていく。

個人的に本書で何より印象的なのは、官僚や政治家はもちろん、トップ・ビジネスマンも一企業の利益だけを考えるのではなく、国の社会政策について大きな役割を果たすべきだと説いていること。

「経済」という視点で見た時に、確かにマクロ的に管理するのは国や政府の役割であるし、財政政策・金融政策は極めて重要なものであるとは思うけれど、その経済を動かしているのは企業であり、国や社会を豊かにする張本人は企業だと僕は思う。

官と民とどちらが偉いという問題ではなく、それぞれが持つ役割を自覚して全うし、国や社会を豊かにするという共通の目標を達成することが何より大事なんじゃないかと思う。


第1章 国が発展するための8つの軌道

上述の通り


第2章 アジアの高度成長

<日本>
(背景)
 戦後、資源も原料もない日本が、国民に必要なあらゆる輸入品を手に入れる代金を入手するには、日本自身のエネルギー、すなわち、人力と石炭・水のエネルギーだけである(ライシャワー、元在日米国大使) 
(日本が成長する唯一の道)
 ⇒米国市場ターゲット
  ○限界費用価格形成、○為替環境、○高付加価値製品生産による製品差別化、○資金調達ー銀行貸し出しルート→自己資本比率が低くても良い→更なるコスト低下、○高い貯蓄率

<シンガポール>
(リー・クアンユーの国家戦略)
 ○輸出主導の成長戦略、○そのための直接投資誘致(←雇用の必要性)、○貯蓄の奨励

<中国>
(小平の史上最強の戦略)
 ・一人っ子政策
 ・農業の生産責任制
 ・郷鎮企業の戦略
 ・経済特区(直接投資誘致→資本、技術、工場、経営ノウハウ、市場参入機会)
 ・民営化
 ・価格統制の解除
(金融危機後の中国)
 ・消費需要を海外から国内に向ける
 ・雇用の創出
 ・食糧や石油の代金を賄う為の経済成長(大幅な貿易黒字)

<インド>
(3部の成長戦略)
 ・1947年~91年:輸入代替戦略=最大の貿易相手国ソ連の崩壊→債務危機
 ・ワシントンコンセンサス
 ・BJP(インド人民党)
(現在のインドの経済パフォーマンス)
 ・貿易赤字に対し、経常赤字はそこまで大きくない←驚異的なITサービスとアウトソーシング>製造業


第3章 挟まって身動きがとれない国々

(マイケル・ポーターの「挟まって身動きがとれない」)
 ・「ローコスト」:コストリーダーになる
 ・「集中」:事業、購買層、地域市場への集中
 ・「差別化」:独自のブランド差別化
 ○日本、アメリカ、シンガポール⇒高付加価値商品
 ○中国、インド⇒低付加価値商品、サービス
 ⇒いずれにおいても競争できない国々

<メキシコ>
(1970~80年代)
 ・石油の純輸出により多額の歳入があったにも関わらず、巨額の財政赤字を補う債務⇒債務危機
(IMFによる救済と経済自由化戦略)
 ・貨幣供給の増加率を抑え、金利を上げるとともに、通貨の価値の下落を容認。
 ・マキラドーラ(輸出保税加工地区)への投資。
 ・NAFTA(北米自由貿易協定)の締結。

<南アフリカ共和国>
(マンデラの国家戦略)
 ・マクロ経済開発戦略、GEAR
  ⇒財政赤字を減らすために歳出を減らす一方、税基盤を整備して税収を増やす
   通貨供給量を調整し金利を引き上げる


第4章 資源に依存する国々

<サウジアラビア/イスラム>
 ・資源依存からの脱却を目指し、情報産業立国への道を追求
 ・ドバイの繁栄と崩壊=外国資本を呼び入れ、都市は急激に発展したが、とてつもない不動産バブルが生まれ、不動産市場・金融市場は完全に崩壊。

<ロシア>
(ゴルバチョフ政権)
 ・「ペレストロイカ(改革)」と「グラスノスチ(情報公開)」
(エリツィン政権)
 ・規制緩和、貿易、投資の全面開放、財政の均衡、変動相場制の採用
(プーチン政権)
 ・「強い国力が個人を自由にする」


第5章 欧州連合という試み

(統合の意義)
 1.経済統合による平和実現
 2.日米との競争への対抗
 3.社会的プログラムの解消

(統合の影響)
 ・生産性は望んだようには向上せず
 ・賃金上昇による労働コストの上昇
 ・資本市場の前進
 ・サービス分野の規制緩和は遅れ気味

(統合後の課題)
 1.財政問題
 2.宗教問題
 3.統一政府としての問題
 4.憲法問題
 5.アイデンティティと世代間の問題


第6章 巨大債務に悩む問題

<日本>
(1971年-91年)
 ・ニクソンショック、2度の石油危機による経済成長の停滞
(経済構造)
 ・GDPに占める消費の割合は55%程度(1971年に54%、2004年に55%)
 ・同政府支出割合13.5%
 ・同投資支出割合30%程度
 ・同輸出割合11%
  ⇒30年間で、経済構造に変化がない。
(バブル後の不況から経済立て直し政策)
 ・金融政策→低金利政策→「流動性の罠(資金需要がない)」
 ・財政政策→財政赤字を覚悟でインフラや福祉面で支出(ケインズ)→「リカードの中立命題」
(小泉・竹中改革)
 1.郵政民営化
 2.財政赤字の削減
 3.不良債権の解消、量的緩和政策
 4.年金改革

<アメリカ>
(ロナルド・レーガンの「レーガノミックス」)
 1.金融引き締め→インフレ抑制
 2.大幅な減税
 3.交通、エネルギー、通信、金融業の規制緩和
 4.対ソ防衛支出増加
(ビル・クリントンの構造調整)
 1.財政危機対処の増税、政府支出の削減
 2.IT技術への投資増加→生産性上昇→政府の財源拡大⇒30年ぶりの財政黒字
 3.自由貿易支持。
(ジョージ・ブッシュ政権)
 1.減税による経済成長を目指す
 2.9.11
  ⇒巨大な貿易赤字、財政赤字で最大の債務を抱える
(バラク・オバマ政権)
 ・金融危機とその財政政策
スポンサーサイト



2011.01.02 Sun l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://ryryry.blog57.fc2.com/tb.php/1073-4b59fb50
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)