FC2ブログ


嬉しうて、そして…

嬉しうて、そして… / 城山三郎


「私の履歴書」をはじめ、晩年の文章を集めた城山三郎の随筆集。

経済小説や実業家の半生を描いた作品とはまた一味違い、城山三郎氏本人の思考に触れることが出来る。

戦争体験をきっかけに「人間」というものへの興味を抱き、特に戦争を引き起こした責任者たる国のリーダーへの関心から、国や企業などの組織に不可欠なリーダーに求められるものが何かということへの追求に邁進する。


「私利私欲のためではなく、公の為に忠を尽くす」という価値観を大事にされている。

僕自身、自分の卑しさに嫌気がさす。

人の為、公の為への自律。


太平洋戦争が終結した1945年8月15日。

終戦の情報が届いていなかった神風特攻隊長・中津留大尉は、司令官から突撃せよとの命令を受ける。

しかし、眼下には敵艦の姿はない。

咄嗟の判断で現状を把握した中津留大尉は、沖縄で戦勝パーティー中の米軍泊地へ突っ込む振りをしてわざと海岸の岩に機体をぶつけて最期を遂げる。

それを見た部下たちも、大尉の意を悟り、みな米軍泊地を避けて堕ちた。

もしここで中津留大尉が米軍泊地に特攻していたらどうなっていたか。

降伏と見せかけての闇撃ちは、真珠湾での不意打ち以上の波乱を巻き起こしたであろう。


第27代内閣総理大臣、浜口雄幸は、日本の国力が英米のそれと比べ物にならないことを悟り、国民生活の負担を減らすべく徹底的な緊縮財政を敢行する。

軍縮余剰金の抽出をはじめその徹底ぶりは半端ではなく自らの警備もなくしたが、その結果、東京駅で狙撃されてしまう。

自らの命よりも、日本という国の将来を案じた総理大臣である。


城山三郎氏は、一橋大学(旧東京商科大学)経済学部出身。

大先輩である。

氏の著書でもよく取り上げられる、石田禮助、大平正芳も大先輩だ。

先輩方のような偉業は成せずとも、謙虚に誠実に公に忠を尽くすマインドは継承していきたい。
スポンサーサイト



2011.01.22 Sat l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://ryryry.blog57.fc2.com/tb.php/1093-5204add5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)