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男子の本懐

男子の本懐 / 城山三郎


第27代内閣総理大臣、浜口雄幸と元日銀総裁、浜口内閣の蔵相、井上準之助の半生を描いた作品。

性格も生きてきた道もそれぞれ違う二人が、互いに惹かれあい、「金解禁」を断行するまでを描いています。

金解禁とは、金輸出解禁策、つまり、第一次世界大戦によって各国が禁止した金の輸出を解禁し、金本位体制に戻そうとする経済政策である。

金解禁は、当時の最重要経済政策とされていたが、どの内閣も政策に着手しようとしなかった。

それというのも、解禁に踏み切るにはそれに先だって金準備を増やし、強力な緊縮財政により、国内物価を引き下げなければならなかったからである。

この難題に立ち向かったのが、浜口雄幸首相と井上準之助蔵相である。

まず、彼らは徹底した緊縮財政の為に各省庁の予算を削り、高級官僚の年俸を減らした。

この政策はあらゆる方面から反対を受けた。

事実、彼らを襲撃して死に至らしめた犯人は右派で、軍事費の大幅削減等が起因したのではないかと考えられる。

しかし、東京駅で射撃されても、浜口は「ここで死んでも男子の本懐である」と述べた。

日本経済のために、自らを犠牲にしても信念を貫く。

最終的に金解禁は実現するが、次の犬養内閣で再び金の輸出が禁止され、事実上、金解禁は頓挫する。

これによって、ドルの買い占めをしていた銀行が大幅な利益を上げ、国民世論における大手銀行を抱えた財閥への非難と軍部の対外進出路線への支持に転化する一因となった。

つまり、彼らの死後、軍部の圧力と横暴により政党が実権を失い、転落の一途を辿ることになった。

彼らの存在が近代日本に大きな影響を与えたことが窺い知れる。

城山作品の主人公に共通する、私利私欲がなく、国益の為に命を捧げる人物たちである。
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2011.03.14 Mon l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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