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友情


友情 / 武者小路実篤


新聞社とNHKの就職試験の過去問を買ったついでに本を4冊ほど買って1冊読みました。

知らぬ人はいないと言い切れるくらい有名な作品ですが、本の意外な薄さとは裏腹に内容の濃さは計り知れないほど大きいです。
一途に女性を想う主人公の心理状況が客観的に描かれながら物語は進むのですが、ぼくが一番感じたのは、この本のタイトルが『友情』であること。
一見すると恋愛ものの要素が強く見えるので、主人公と女性が主要人物に捉えられがちですが、個人的にはあくまで主人公とその親しい友人の2人が主要人物であると思います。

恋愛とは異性への想いが強ければ成就するというものではない。
そこにはある種妥協的なものの必然性があるという現実。
ゆえに現実とは不幸なものである。
実際、この2人の男は、片方が失恋し、片方は恋を成就させたが友情を裏切るという形でともに幸せな結末を得たとは言い難い。

しかし、武者小路実篤が主張したかったのはそうした不幸な現実をも受け入れ、強く生きていかなければならないということだったのだと思う。
現に、失恋した主人公はこの惨事をばねに強く生きていこうと決意し、その友人は妻となる女性の力を自分の活力に見出そうと決意した。

愛とは何か、友情とは何か、普遍的なテーマであるがゆえに書かれてから90年近く経った今でも感銘を受けることのできる、色褪せることない不朽の名作です。



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2008.12.11 Thu l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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