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仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法 / 内田和成


BCGの日本支社長を務め、現在、早稲田大学商学術院教授の内田和成さんの著書。

前々から読んでみたいと思っていて、本屋でふと目に入ったので買って読んでみました。

コンサルタントが「問題発見」、「問題解決」の時によく用いる「仮説思考」を分かりやすく説明してくれているので、とても勉強になりました。

要するに、「何が問題なのか」、「その問題はどうすれば解決されるか」ということに関して、緻密に分析してから解を得るのではなく、予め限られた情報から推測して「これが問題ではないか」、「こうすれば問題は解決されるのではないか」という仮説を立て、その後にそれらをデータを用いて検証する方が、より効率的、正確、スピーディーである。

また、ロジックツリーは仮説を立てる段階でその効果を発揮する。

例えば、「売上が上がらない」理由を構造化すると

○売上が上がらない

 1.需要が減っている
  ー消費者の嗜好が他のジャンルにシフトしている
  ー需要が一巡して、成熟期に入った
 2.競争に負けている
  ー販売力・マーケティング力で負けている
   ・チャネルシフト
   ・競争相手のプロモーション
   ・価格競争を仕掛けられている
  ー製品力で負けている
   ・口コミで他社製品に人気が集まっている
   ・他社から新製品が出ている

売上が上がらないのは、大きく2つの理由が考えられる。

需要が減っているか、需要が減っていないのに売れない、つまり、競争相手に負けているかのどちらかである。

さらに、なぜ、需要が減っているのかを考えると、消費者の嗜好が他のものにシフトしたか、嗜好は変わっていないが製品の市場自体が成熟化して需要が減ってしまったか、と考えられる。

このように、ロジックツリーを用いて、問題をMECEに構造化していけば、仮説も立てやすく、また、仮説が間違っていた時にすぐ別の仮説を立て検証することができる。




<序章>仮説思考とは何か

情報が多ければ正しい意思決定ができるわけではなく、大事なのは、早い段階で仮説(現段階で「最も答えに近い」と思われる答え)を持つこと。

<第1章>まず、仮説ありき

なぜ仮説思考が必要なのか?それは、問題解決のスピードが格段に速くなるから。
経営者は先行き不透明な経営環境の中で、ある程度の「読み」をもって、日々、意思決定し、実行していかなくてはならない。(例、オフト・ジャパン、羽生名人)

<第2章>仮説を使う

仮説を立てることは、仕事を効果的かつ効率的に進めるための大きな武器となる。
ビジネスの場面では、「問題発見の仮説」と「問題解決の仮説」の2つの仮説を用いる。
問題を絞り込み、具体的な打ち手の仮説を立て、絞り込む。

また、仮説は常に正しいとは限らないため、検証し改善していく必要がある。(セブン・イレブンの仮説・検証システム)


<第3章>仮説を立てる

仮説の立て方は、「ディスカッション」、「インタビュー」、「突然のひらめき」、「じっくり考える」、など、方法は各人各様であり、定石はない。

仮説を立てるための頭の使い方としては、1.反対側から見る、2.両極端に振って考える、3.ゼロベースで考える、ことにより、意図的に閃きを生むことである。

よい仮説の条件は、1.掘り下げられている、2.アクションに結びつく、ことで、それにより、問題発見が早くなり、解決策が早くたてられるようになり、また、絞り込めるようになる。


<第4章>仮説を検証する

検証には、実験による検証(例、セブンイレブンの実験「200円のおにぎりは売れるか?」、ソニーの消費者刺激型開発)、ディスカッションによる検証、分析による検証(バック・オブ・エンベロップ分析、因数分解による分析)などがある。


<第5章>仮説思考力を高める

よい仮説は経験に裏打ちされた直感から生まれる。
トレーニングとしては、「So What?」を常に考えたり、「なぜ?を5回繰り返す」などがある。
2011.02.15 Tue l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top


法人営業「力」を鍛える

法人営業「力」を鍛える / 今村 英明


今のアルバイトの仕事がまさに法人営業なので、勉強と実践の良い機会だと思い読んでみました。

要は、マーケティングの知識や分析力を営業に活かそうという本です。

何より、著書の経歴がすごい。

三菱商事→世界銀行→ボストン・コンサルティング・グループ、スタンフォード大のMBAも取得していらっしゃるみたいです。

個人的には、「市場を科学する」、いわゆるマーケティングは、生態学者が森を眺め、動植物たちがどのようなゲームを繰り広げているのかを観察するようなものだというたとえが分かりやすくて秀逸だと思いました。

いわゆる「営業のコツ」をまとめたものではなく、あくまで対企業を意識した法人営業のアプローチなので、全社的な視点も考慮されていて即効性のあるものではなく、経営的な見方が重視されています。



<序章>できる営業スタッフは何が違うのか

「マーケティング・ロジックをもつ」ことが重要。

「マーケティング・ロジックをもつ」=「自社のどの製品・サービスをどの顧客にどう売り、どう競争相手に持続的に差をつけ、最後はどう利益を上げるかに関する首尾一貫した見方・考え方・行動の仕方をもつ」


<第1章>日本企業に蔓延するマーケティング・ロジック欠乏症

「マーケティング・ロジック欠乏症」とは、

・市場を科学的にとらえ分析するマーケティングの基本的な見方・考え方や手法が欠如し、正しい営業・販売戦略ができていない

・正しい営業・販売戦略を現場に落とし込むやり方や、現場をしっかり管理したり、営業スタッフに実行させたりする仕組みが組織内に欠けているために、営業活動が無秩序でバラバラに見える

この2つの合併症である。

この原因は、

(1)視野狭窄
(2)KKD依存(経験、勘、度胸)
(3)オキャクキング錯覚
(4)GNN依存(義理、人情、浪花節)
(5)ローンウルフ性癖
(6)勝ち自立失調

が挙げられる。


<第2章>チャンスを再発見するー市場を科学する技術

市場を科学する、とは、3C(顧客、競合、自社)の姿を正しく把握し、関係がどうなっているかを理解する。それは、生態学者が森や林を観察する様子を思い浮かべるのと同じ。

市場を科学するのに役立つ道具。

1.チャンス・マップ
 →市場の何処に事業機会があるかを発見する手法
2.顧客セグメンテーション
 →どの顧客が大事かを発見する方法
3.売上方程式
 →売上を上げるためのレバーを発見する手法(例、「購買顧客数」×「1人辺り購買単価」)
4.競合ベンチマーキング
 →競合に対して、どこで勝負するかを検討する手法


<第3章>戦略を再考するー「標準化」と「カスタマイゼーション」

「標準化」戦略とは、多くの顧客に広く共通に標準的に使われる製品・サービスを開発し、市場価格、あるいはそれ以下の安価で大量に販売し、収益を上げようとする作戦である。

「カスタマイゼーション」戦略とは、少数のお得意客の個別ニーズに合わせて、テーラーメイドの製品・サービスを提供する。

多数の競争相手が同じように標準化やカスタマイゼーションなどの戦略を選択する場合、自社が他社に対して持続的に優位を築くには、「先行投資」が必要である。


<第4章>顧客を再発見するーニーズや意思決定の構造を分析

顧客企業・法人を深く理解するとは、

・すべての顧客ではなく、自社にとって最も大切な顧客に絞って深く理解する
・供給者(自社)の視点ではなく、顧客の視点で考える

そのための手法としては、

1.顧客ターゲティング・・・誰が大切な顧客かを見極める方法
2.ディープ・カスタマー・デリバリー(顧客の深層探査)・・・顧客を再発見する方法
 (1)ニーズ深堀マップ…顧客の真のニーズを把握する方法
 (2)EVC(顧客経済価値)…顧客の視点で製品・サービスを評価する方法
 (3)DMU(意思決定主体)…顧客の意思決定構造を理解する方法


<第5章>取引関係を再構築するー顧客アプローチの方法

顧客に対していかにアプローチするか。

1.ミッション別営業スタッフ・・・顧客に応じ多様な営業スタッフを揃える
2.チーミング・・・チームを組んで組織化して闘う
3.コラボレーション・・・顧客との協働関係を築く
4.SFE・・・営業生産性を高める


<第6章>プライシングをやり直すー高収益を実現する値付け

価格を1%上げると、営業利益が飛躍的に増加することがある。一部の顧客の離脱を考慮しても、売り上げ増が期待できることもある。価格設定は難しいものであるが、高い価格実現性や収益性を実現することが出来る。

価格見直しのポイントは、

1.製品価格
2.製品ミックス
3.サービス価格
4.アフターマーケット価格
5.プライシングのケイパビリティ(組織能力)
2011.02.11 Fri l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top

強欲資本主義 ウォール街の自爆

強欲資本主義 ウォール街の自爆 / 神谷 秀樹


住友銀行からゴールドマン・サックスに転職し、20年以上をウォール街で過ごした神谷さんの著書。

拝金主義・強欲主義のウォール街を批判しています。

「顧客第一主義」という金融本来の目的に背き、「利益至上主義」、「株主至上主義」が行き過ぎた結果、バンカーの目的は、トップラインである売上からボトムラインの純利益の間にある人件費を含むコストカットによる企業評価価値の向上に走り、その結果、長期的な企業の成長を支えようとしなくなった。

さらに、実態のない金融商品を、返済能力と無関係の格付け会社による評価のみを頼りに膨らまし、サブ・プライム問題を引き起こした。

ウォール街の強欲主義が、世界経済のみならず、自らの存在をも危ぶませている。

神谷さんの考えでなるほどと思ったのが、そうした影響によりダメージを受けたのは、人の心であるということ。

金融は「信頼」で成り立つものだが、その前提が覆された結果、「雇用者と被雇用者」、「銀行と預金者」、「銀行と企業」、「企業と消費者」、「政府と納税者」、などの間の信頼関係が揺らいでいる。

失った金は取り戻せるが、こうした信頼を回復するのは難しいということ。

こうした長期的視点と倫理観を持ちあわせることはやはり大切だと思う。

利益を重視した結果、製造業部門を切り離したGEと世界を席巻するサムスンやかつてのソニー。

経営破綻したGMとトヨタ。

顧客志向こそが、成長の原点なのは間違いないだろう。

2011.02.07 Mon l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top

経済古典は役に立つ

経済古典は役に立つ / 竹中平蔵


これは非常に面白かった。

アダム・スミス、マルサス、リカード、マルクス、J・M・ケインズ、シュンペーター、ハイエク、フリードマン、ブキャナンと言った経済学者たちの理論の簡単な解説を中心に、少しだけ現在の日本の経済政策とリンクさせているという本です。

御存知、アダム・スミスは「国富論」において「神の見えざる手」という市場メカニズムの存在を提唱した。

マルサス、リカード、マルクスは、人口増大や、地主だけが受益者となるメカニズム、余剰労働者の存在が、資本主義を崩壊に導くと説く。

実際、資本主義は今日まで存命しているが、大きな危機を迎えたのが世界大恐慌である。

その際に、所得の増大分ほど消費が増えず、足りないGDPは政府によって有効需要を創出すべしと言ったのがケインズ。

時を同じくして、シュンペーターは景気循環論を提唱して、不況は必要悪としその問題解決に積極的ではなかったが、イノベーションが経済発展の源泉であるという考えは、後にピーター・ドラッカーによってマネジメントの思考に受け継がれる。

ハイエク、フリードマン、ブキャナンらは、ケインズを批判しながら、それぞれ、集産主義(全体主義、共産主義)、スタグフレーション、財政赤字、といった問題を解決するための方法を考えた。

本の主張は一貫していて、経済古典は発表された当時は最新の理論であり、その時代の問題を解決するために生み出されたものである。したがって、「アダム・スミスが正しい」とか「ケインズが正しい」とかいう議論はナンセンスで、時と場合に応じて最適な経済政策を考えることが重要であるというもの。

ただ、竹中さんや元米国財務長官のローレンス・サマーズなどは、「モデレート・ケイジアン」と主張する。

つまり、アダム・スミスの市場メカニズムをベースに、必要に応じてケインズのように政府の財政政策を出動させるという考え方である。


経済古典は、それだけ読んでもバックグラウンドたる知識がないとなかなか理解するのが大変だけど、この本はそうした古典を時系列的に簡易的に説明してあるので、おすすめです。
2011.02.01 Tue l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top


国家の命運

国家の命運 / 薮中三十二


外務事務次官を務めた薮中さんの、これまでの外交を振り返り、また、これからの日本の外交政策についての考えが記された本。

外交という国と国との交渉のやり取り次第で、国益に大きな影響を与える極めて責任重大な任務なのだと実感させられます。

また、外交のテーマごとにどのような思惑や戦術が取られるのか、というのは非常に興味深い話でした。

アメリカ、中国、北朝鮮をはじめ、ASEAN諸国等との交渉について書かれていますが、特にアメリカとの外交については、「No!」と言える、言えないという議論自体が受け身の姿勢であり、大事なのは主体性を持って主張していくことだという。

また、独裁状態の北朝鮮との交渉が難しいという話の流れで出てきたが、何とか妥協点を見つけた交渉における合意を国内に売り込み認めてもらわなければならないという板挟み状態も、外交官の立場としての難しさなのだろう。

外交交渉の要諦は、

1.敵を知り、己を知る
 1、相手の国が何を狙っているか
 2、交渉と結論を急いでいるか
 3、相手国の力はどのくらいか
 4、交渉担当者の人となり、国内における力量はどうか

2.互いを理解し、信頼関係を

3.オフェンスとロジックが大事

4.交渉争点の絞り込みと節目作り

5.最終局面では、勇気を持って決断、決裂も恐れるな

6.「51対49」の原則

が大事であるという。

これは、外交に限らず、ビジネスの交渉の場でも必要な事項だと思う。

2011.02.01 Tue l 書評 l コメント (0) トラックバック (0) l top